運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
早期公開論文
早期公開論文の28件中1~28を表示しています
  • 佐藤 日菜, 髙田 和子, 多田 由紀, 日田 安寿美
    論文ID: 2309
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/18
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:日本人健常大学生の研究室内と日常生活時の歩行状態を比較して,日常生活時の歩行状態の実態を明らかにする。
    方法:健常大学生を対象に,両足首に装着する歩行センサーを用いて研究室内及び日常生活時の歩行状態(歩行速度,歩幅,ピッチ)を測定した。研究室内の歩行は,5m歩行テストで測定した通常歩行速度で研究室内の周回コースを5分間歩行した時の歩行とした。日常生活時1週間の歩行状態について,研究室内の測定値よりも低い値,範囲内,高い値の出現割合を求めた。また,日常生活時の履物の違いによる歩行状態の差の有無を検討した。
    結果:日常生活時の歩行状態評価の解析対象者は8名(男性2名,女性6名,年齢22.1±0.4歳)であった。日常生活時は,研究室内よりも歩行速度が遅い,歩幅が短い,ピッチが遅い割合がそれぞれ,79.4±14.6%,69.8±25.3%,73.4±15.6%であった。日常生活時においてスリッパを履いている時の歩行速度,歩幅,ピッチは他の履物条件の時よりも低値を示した。
    結論:日本人健常大学生の日常生活時の歩行は,研究室内の歩行よりも歩行速度が遅く,歩幅が短く,ピッチが遅い歩行が多かった。研究室内で行った通常歩行の歩行状態は日常生活時の歩行状態と異なっており,研究室内の結果を基に日常生活時の歩行状態を推測する際には注意が必要である。
  • 大島 秀武, 重松 良祐
    論文ID: 2307
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/13
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本研究では,高齢者に対する未経験の運動プログラムの体験会において,すでに他の運動教室に参加している者と参加していない者との間での期待と満足の相違を明らかにすることを目的とした。
    方法:運動プログラム「スクエアステップ」の体験会参加者を対象に質問紙調査を実施した。参加前に,定期的な運動教室への参加の有無,体験会の参加理由,体験会への期待度を尋ねた。体験会参加後に,満足度と感想を尋ねた。
    結果:スクエアステップ未経験の参加者(62名)を分析対象とした。そのうちすでに定期的な別の運動教室へ参加している32名(75.6±7.0歳)を教室参加群,参加していない30名(73.8±7.6歳)を非参加群とした。体験会に対して,教室参加群は未経験の運動プログラムに興味を持って参加し,それ以外の非参加群ではその運動による健康効果に期待して参加していた。また,体験会に対して,非参加群では「楽しい」ということへの期待度が教室参加群よりも有意に高値を示し,両群ともに「雰囲気が良い」ことへの満足度が期待度に対して上回っていた。
    結論:すでに運動教室に参加しているかどうかによって,未経験の運動プログラムに対する期待度や満足度は異なる。このような参加者の特徴をふまえて体験会を開催する必要性が示唆された。
  • 中潟 崇, 笹井 浩行, 岡田 知佳, 瀧本 秀美, 宮地 元彦, 小野 玲
    論文ID: 2310
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:国民健康・栄養調査の運動習慣, 歩数の結果は, 本邦の健康政策の目標値の設定やモニタリングとして活用されている。このため, 調査方法の変更点や内容および変遷を把握することが重要である。本研究は, これまで国民健康・栄養調査で実施されてきた運動習慣, 歩数, 体格・体力に関連する項目を系統的に整理することを目的とした。
    方法:1946年から2019年までの74年間の調査を対象とし, 各年の調査の概要, 報告書から,運動習慣, 歩数, 体格・体力に関連する項目の調査項目の情報を収集し, 調査方法の変更内容と変遷などを整理した。
    結果:運動習慣は調査員による対面での聞き取り調査で把握されていた。運動習慣有とは, 「1回30分以上の運動を週2回以上実施し, 1年以上継続していること」と定義され, 1986年から2019年まで一貫していた。歩数は, 1989年から歩数計(山佐時計計器株式会社製)を用いて計測され, 装着部位は腰部, 11月中の日曜日および祝日を除く1日と調査方法が一貫していた。運動習慣, 歩数以外には, 身体活動, 運動, スポーツの実施有無, 頻度や実施時間, 意欲, 握力や形態計測などのその時代背景に合わせて調査が行われていた。
    結論:運動習慣有の定義, ならびに歩数調査用の歩数計は, 調査が開始された年から一貫して用いられていた。よって国民健康・栄養調査は経時的に比較可能な調査が可能であると考えられる。
  • 稲益 大悟, 岡本 尚己, 久保田 晃生, 阿部 巧
    論文ID: 2308
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/09
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:中小規模の自治体から構成される圏域のactive travelとsedentary travelに対する居住地域と年齢の関連性,およびそれらの交互作用について明らかにする。
    方法:2015年12月と2016年2月に行われた第3回東駿河湾都市圏パーソントリップ調査の成人のデータを用いた。Active travel(徒歩と自転車による移動が30分/日以上かつ自動車による移動が0分/日)あるいはsedentary travel(自動車による移動が60分/日以上かつ徒歩と自転車による移動がともに0分/日)を従属変数,居住地域(地方拠点都市[基準]/近隣都市),年齢階級(若年層[基準]:20-44歳,中年層:45-64歳,前期高齢層:65-74歳,後期高齢層:75-84歳),あるいはそれらの交互作用項を独立変数としたロジスティック回帰分析を用いた。
    結果:解析対象者25,930人のうち,active travelは11.2%,sedentary travelは27.0%であった。Active travelのオッズ比は,すべての同性・同年齢間の比較において,近隣都市で有意に低く,同居住地域内の比較では,男性では中年,前期および後期高齢層,女性では中年層で有意に低かった。Sedentary travelのオッズ比は,女性の前期高齢層を除き,居住地域間による有意な差は見られず,同居住地域内の比較では両居住地域ともに,男性では後期高齢層,女性では前期および後期高齢層で有意に低かった。いずれにおいても有意な交互作用は見られなかった。
    結論:中小規模の自治体圏内において,居住地域に起因する移動場面での身体活動の差が確認され,この差は,一定の年齢層で拡大/縮小する傾向にないことが示唆された。
  • 田中 千晶
    論文ID: 2306
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:障害を有する子供・青少年の身体不活動は,深刻な健康問題を引き起こすリスクが高くなる。本研究の目的は,障害を有する子供・青少年の身体活動の評価方法に関する国際的な動向の概要をまとめることである。
    方法:障害を有する子供・青少年の身体活動に関する国際比較を行った“Global Matrix of Para Report Cards on Physical Activity of Children and Adolescents With Disabilities”に参加した14の国・地域を対象とした。各国・地域のPara Report Cardにおいて,日常生活全般の身体活動量の等級付けの根拠となっている文献を収集することにより,各国・地域の身体活動量の評価法を整理した。
    結果:14の国・地域のうち日常生活全般の身体活動量の等級付けが行われていたのは11の国・地域で,Health Behaviour in School-aged Children (HBSC)の質問紙が最も多く用いられていた(5か国:45.5%)。HBSCの質問紙を含め,「1日60分以上の中高強度身体活動を達成した頻度」を尋ねて日常生活全般の身体活動量を評価する質問紙を利用している国が多かった(8つの国・地域:72.7%)。質問紙と加速度計による客観的な方法の両方を用いて等級付けを行っていたのは,3か国と1地域であった(36.4%)。
    結論:11の国・地域の中で,障害を有する子供・青少年における身体活動評価法として,日常生活全般の身体活動量を評価するために,「1日60分以上の中高強度身体活動を達成した頻度」を尋ねる質問項目や質問紙(例:HBSC)が,国際的に最も頻繁に用いられていた。
  • 大垣 亮, 金 賢宰, 小倉 彩音, 中川 雄太, 嶋崎 達也, 竹村 雅裕
    論文ID: 2303
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本邦のラグビー競技では2022年8月に脳振盪後の段階的競技復帰(Graduated Return to Play,以下GRTP)プロトコルが改訂された。本研究は男子大学生ラグビー選手を対象に外傷・障害の発生状況を調査し,脳振盪受傷後のGRTPプロトコル改訂前後での脳振盪を含む外傷・障害の発生状況を比較することを目的とした。
    方法:1チームに所属する男性の大学生ラグビー選手101名を対象に,GRTPプロトコル改訂前(2021年9月から12月)とGRTPプロトコル改訂後(2022年9月から12月)を調査期間として,脳振盪を含む全ての外傷・障害の発生件数,脳振盪受傷後から競技復帰に要した日数,脳振盪の再発件数を記録した。ラグビーの試合および練習での曝露時間を計算し,1000時間当たりの発生率(件/1000 player-hours: 以下,件/1000 h),95%信頼区間(95% CI: confidence interval),Rate Ratioを計算した。
    結果:調査期間において146件の外傷・障害が発生した。全外傷・障害の発生率はGRTP改訂前(8.9件/1000 h; 95% CI, 6.9 – 10.9)と比べて,GRTP改訂後(6.2件/1000 h; 95% CI, 4.7 – 7.6)で有意に低かった(Rate Ratio = 0.67; 95% CI, 0.48 – 0.92)。脳振盪の発生率はGRTP改訂前(1.7件/1000 h; 95% CI, 0.8 – 2.6) と比べて,GRTP改訂後(0.7件/1000 h; 95% CI, 0.2 – 1.2)で有意に低かった(Rate Ratio = 0.41; 95% CI, 0.18 – 0.92)。脳振盪の再発の割合はGRTPプロトコル改訂前が18.7%であったのに対し,改訂後は0%であった。
    結論:男子大学生ラグビー選手において脳振盪後の段階的競技復帰プロトコル改訂前後での外傷・障害の発生状況を調査した結果,脳振盪および外傷・障害の発生率の低下が観察された。
  • 吉澤 裕世, 小熊 祐子, 土井原 奈津江, 齋藤 義信, 田島 敬之, 伊藤 真紀, 伊香賀 俊治
    論文ID: 2142
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 安部 孝文, 北湯口 純, 福島 教照, 鎌田 真光, 岡田 真平, 田中 千晶, 井上 茂, 武藤 芳照
    論文ID: 2304
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/05/29
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本研究の目的は,行政による幼児期運動プログラム(運動プログラム)普及施策の実装プロセスを明らかにすることである。
    方法:保育者向け運動プログラムの実装状況をPAIREMに基づき評価した。2016年から2021年の雲南市の幼保行政,保育施設,幼稚園教諭・保育士(保育者)のデータを評価に用いた。幼児の体力は,新型コロナウイルス蔓延の影響を考慮し2019年まで分析した。
    結果:計画:「自分の子どもが心身ともに健全だと感じる保護者の割合95.0%」を目標としていた。「研修会の開催数」と「体力測定の参加園・幼児数」を各年度の目標に掲げていた。幼児の体力向上に関する目標値は設定していなかった。採用:運動プログラムは17施設で活用された。実施:保育者向け研修会が14回開催された。到達:学習教材は全保育者に配布された。研修会の実参加施設数は21施設であった。疑似保育者カバー率(延べ研修会参加者数/保育者数)は18.5%(342/1,849人)であった。効果:「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具等を操作する動き」の各観点から幼児への援助を75.5%から90.4%の保育者が行った。幼児の体力は,2016年と比べて,2019年の年中・年長児のソフトボール投げと25m走が高かったが,年長児の立ち幅跳びが低かった。継続:今後評価予定である。
    結論:本研究の結果,行政による研修会等を通じた運動プログラム普及施策の実装プロセスが明らかになった。今後さらなる事業の改善と推進が求められる。
  • 伊藤 真紀, 伊香賀 俊治, 小熊 祐子, 齋藤 義信, 藤野 善久, 安藤 真太朗, 村上 周三, スマートウェルネス住宅調査グループ
    論文ID: 2207
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/05/16
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:断熱改修が冬季の住宅内の座位行動と身体活動に及ぼす影響を検討した。
    方法:断熱改修に意欲的な成人を募集し,冬季2週間のベースライン調査(改修前)と,その1~4年後の同時期に追跡調査(改修後)を行った。住宅内の座位時間と低強度以上の身体活動量(light-to-vigorous physical activity; LVPA)は,加速度計と外出記録から評価した。断熱改修を行った介入群と断念した対照群に対象者を分け,住宅内の座位時間とLVPAの変化との関連を線形混合モデルで検討した。また,脱衣所室温変化量[低下(-1℃未満),変化なし(-1℃以上+1℃未満),上昇小(+1℃以上+5℃未満),上昇大(+5℃以上)]を説明変数に加えた解析も実施した。
    結果:1,751名(介入群1,640名,対照群111名)を解析対象とした。脱衣所室温は介入群で有意に上昇したが,群間で調査期間のずれが生じたことなどにより,対照群の室温も外気温の上昇に伴い上昇していた。多変量解析の結果,断熱改修と住宅内の座位時間・LVPAの変化に有意な関連は認められなかった。ただし,脱衣所室温変化量は有意に関連していた。室温が変化しなかった場合に比べて,5℃以上改善した場合は,座位時間が減少し,LVPAは増加したが,室温が低下した場合には,座位時間が増加し,LVPAは減少した。
    結論:断熱改修は住宅内の座位時間とLVPAの変化に関連していなかった。ただし,脱衣所等の室温改善は,住宅内の座位行動を抑制し,LVPAを増加させる可能性が示唆された。今後も検証が必要である。
  • 佐藤 文音, 北濃 成樹, 藤井 悠也, 大藏 倫博
    論文ID: 2206
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/05/02
    ジャーナル フリー 早期公開
     我が国では,ボランティアによる運動実践活動(サークル)を普及させる事業が行われてきた。我々は2009年より茨城県笠間市において,サークル普及を目的とした事業を実施している。こうした事業の評価方法にPAIREMモデルがある。PAIREMとは,事業を6つの局面(計画,採用,実施,到達,効果,継続)から包括的に評価するモデルである。本稿では,笠間市におけるサークル普及に関する事業をPAIREMモデルに基づき報告・評価し,事業の成果および課題を検討する事を目的とする。さらに,本モデルを用いた評価に必要なデータの一例を示す事を目的とする。
     笠間市における事業の計画,採用,実施,到達,効果,継続を報告・評価した。計画では,事業の計画に関する記録が残っておらず,報告できなかった。採用では,市内全域で事業が実施され,5つの組織が事業に関わっていた。実施では,ボランティア養成やその後の支援に関する教育機会が1年間で48回提供されていた。到達では,2009年4月から2017年3月までに32のサークルが設立され,661名の高齢者がサークルに所属者していた。効果として,サークルへの参加が,ボランティアや他の高齢者の身体機能,認知機能を維持・向上させる事を報告した。継続では,サークル数,サークル所属者数が2021年まで増加し続けていた。
     笠間市でのサークル普及事業は,サークル数の増加や女性ボランティアの増加という一定の成果をあげていた。しかし,サークル所属者には男性や虚弱な高齢者が少ない可能性があり,幅広い高齢者が参加できる体制を検討する必要がある。また,事業の人的・経済的コストの推定,介護予防効果の検証を行い,費用対効果を明らかにする必要がある。
  • 新村 直子, 田島 敬之, 齋藤 義信, 於 タオ, 吉田 奈都子, 阿部 由紀子, 新井 康通, 小熊 祐子
    論文ID: 2205
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/04/21
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:85–89歳の地域在住高齢者の座位行動を客観的に評価し,テレビ視聴時間を含む関連要因について多面的に検討する。
    方法:The Kawasaki Aging and Wellbeing Project(KAWP)のベースライン(2017–18年)調査の参加者1,026名に連続7日間の加速度計装着を依頼し,有効データ914名(女性473名)の座位行動を客観的に評価した。重回帰分析を男女別に行い,座位行動との関連要因を3領域(身体状況,社会経済状況,生活習慣)の24因子と年齢,計25因子から検討した。
    結果:総座位時間・装着時間に占める座位時間の割合は男性1日平均(標準偏差)9.4(1.9)時間・67%,女性8.6(1.8)時間・59%と男性が女性より長く座っており,30分以上継続する座位時間の割合も女性より高かった。重回帰分析により座位行動と関連が認められた要因は,関連が強い順に,男性ではテレビ視聴時間・BMI(正),家事時間・園芸スコア・運動時間・歩行速度・握力・ADL(負),女性ではBMI・テレビ視聴時間(正),家事時間・睡眠時間・運動時間・ADL・外出スコア(負)であった。
    結論:80歳台後半の地域在住高齢者の座位行動にはテレビ視聴以外に,BMI・歩行速度・握力・ADLなどの身体状況要因,家事・園芸・運動・睡眠・外出などの生活習慣要因が多面的に関連していた。
  • 山形 菜々子, 上地 勝, 青栁 直子, 引原 有輝, 渡邊 將司
    論文ID: 2301
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/04/21
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:幼児期における身体活動量と運動能力が横断的,縦断的にどの程度,またどのように関わっているのかを分析した。
    方法:対象は2018年度から2020年度までに入園した66名の幼稚園児で3年間の追跡調査に参加した。身体活動量は加速度計を用いて評価し,中高強度身体活動(MVPA)を算出した。運動能力は,25m走,立幅跳,ボール投,捕球であった。因果関係の分析には,構造方程式モデリングを用いてパス解析をおこなった。
    結果:横断的にみると,年中のMVPAと各運動能力はそれぞれ弱~中程度の相関が認められた(r=-.637~.450)。年長はボール投と捕球に相関が認められた(r=.294)が,それ以外では認められなかった。縦断的にみると,年少のMVPAは年中のMVPAに対して中程度の影響(β=.405)を与え,年長のMVPAに対しては弱い影響(β=.352)を与えた。また,年中の立幅跳は年長のMVPAに対して弱い影響を与えた(β=.317)。年中の各運動能力は,年長の各運動能力に対して弱~中程度の影響を与えた(β=-.280~.527)。
    結論:年中の身体活動量と各運動能力は関連があった。年長はボール投と捕球以外で関連がなかった。年少の身体活動量は年中・年長の身体活動量に影響を与えた。遊びの内容や質が変化することで,運動能力は身体活動量に間接的な影響を与えていたと推察される。このような特徴を踏まえ,段階的なアプローチをおこなうことが求められるだろう。
  • 中田 由夫, 難波 秀行, 小谷 究, 鈴木 宏哉, 宮田 洋之, 渡邊 裕也, 天笠 志保, 原田 和弘, 桑原 恵介
    論文ID: 2302
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/04/21
    ジャーナル フリー 早期公開
    新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い,感染リスクを下げられるオンラインシステムやデジタル技術を活用した介入研究が世界的に注目されている。しかしながら,運動疫学領域での活用方法の実際に関する本邦の知見は乏しく,コンセンサスも得られていない。そこで本稿では,アプリやオンライン指導といった「手法」,子どもや高齢者といった「対象集団」に着目し,いくつかの事例を紹介しながら,身体活動に関するオンライン介入研究の実際と可能性について論じることを目的とした。なお,本稿の内容は,2022年9月20日に「日本運動疫学会第7回運動と健康:分野横断型勉強会」で発表・議論された内容を中心にまとめたものであり,主な内容は下記の通りである。1)オンライン介入研究の長所と短所,2)Webベースの身体活動評価システムやウェアラブルデバイスを用いた研究の概観,3)オンライントレーニングを活用した運動部活動や体育授業の事例,4)幼児を対象としたオンライン運動指導の事例,5)高齢者向けオンライン運動教室の事例。本稿を通じて,オンラインシステムを活用した運動疫学研究がさらに発展することを期待する。
  • 神谷 義人, 喜屋武 享, 高倉 実
    論文ID: 2209
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/04/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本研究は,どのような大学生が歩いて10分の距離までしか歩行を許容しないかについて明らかにすることを目的とした。
    方法:2021年11月~12月,沖縄県内5大学のうち,対象科目の履修登録者1,476名に対し,無記名式のweb調査を行い,462名から回答を得た(回収率31.3%)。調査項目は,どのくらいの距離(分)であれば目的地まで歩いて行こうと思うかを評価するacceptable walking time(AWT),性別,大学,学年,現在の住まい,body mass index,運転免許の保有,通学行動,および運動行動の変容ステージとした。解析はロジスティック回帰分析を用い,AWT 10分以内(徒歩圏相当)に関する各説明変数のオッズ比を算出した。
    結果:歩いて10分の距離までしか歩行を許容しないことに関する各説明変数のオッズ比は,男性で2.27(95%CI: 1.41-3.65),やせに対する普通体重で1.88(95%CI: 1.00-3.52),運転免許の保有ありで2.79(95%CI: 1.44-5.40),セデンタリートラベル(自動車,オートバイのみの通学)で2.96(95%CI: 1.86-4.69)であった。
    結論:大学生において,徒歩圏相当の10分で行ける距離までしか歩こうと思えない者の特徴は男性,やせに対して普通体重である,運転免許の保有あり,セデンタリートラベル者であることが明らかとなった。車やオートバイによるセデンタリートラベルは許容できる歩行距離と関連することが示唆された。
  • 福島 教照, 天笠 志保, 菊池 宏幸, 町田 征己, 井上 茂
    論文ID: 2150
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 齋藤 義信, 小熊 祐子, 中村 翔, 成松 宏人, 中嶋 綾子, 池崎 裕昭, 田中 恵太郎, 原 めぐみ, 玉田 雄大, 永吉 真子, ...
    論文ID: 2154
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 陳 涛, 本田 貴紀, 陳 三妹, 熊谷 秋三, 楢﨑 兼司
    論文ID: 2155
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 城所 哲宏
    論文ID: 2156
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 喜屋武 享, 宮城 政也, 高倉 実
    論文ID: 2157
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 山北 満哉, 安藤 大輔, 佐藤 美理, 秋山 有佳, 山口 香, 山縣 然太朗
    論文ID: 2158
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 山北 満哉, 安藤 大輔, 佐藤 美理, 秋山 有佳, 山縣 然太朗
    論文ID: 2159
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 神藤 隆志, 北濃 成樹, 永田 康喜, 中原(権藤) 雄一, 鈴川 一宏, 永松 俊哉
    論文ID: 2160
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 馬場 暁子, 伊香賀 俊治, 小熊 祐子, 伊藤 真紀, 金子 真史
    論文ID: 2162
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 馬場 暁子, 伊香賀 俊治, 小熊 祐子, 伊藤 真紀
    論文ID: 2163
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 田中 千晶, 渡辺 哲司
    論文ID: 2166
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
    本報告の目的は,障害のある者やない者をともに含むすべての子供・青少年の身体活動促進に関する国際的な動向,および日本の現状を総括することである。今日では,子供から大人まで蔓延する身体不活動に対処するための取り組みが世界的になされている。そうした取り組みの理念的な基盤となり得るのが,地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓うSustainable Development Goals(SDGs)である。また,世界保健機関(WHO)の行動計画やガイドラインなどは,SDGsの理念とその目標達成に貢献し得る。Active Healthy Kids Global Allianceが,子供・青少年の身体活動の促進と状況調査に世界規模で取り組んでいる。2016年以降,障害や慢性疾患を有する子供・青少年を対象としたデータもいくつかの国から報告されているが,まずは国内外の包括的なモニタリング・システムの開発こそが必要である。日本における既存の調査の主眼はスポーツ参加状況に置かれており,子供・青少年の日常生活全般の身体活動量がわかるデータはほとんど無い。さらに,障害を有する子供・青少年は,同年齢の健常な人たちに比べ,総じてスポーツを行うことが少なく,行うスポーツのバリエーションも乏しい。WHOの身体活動の推奨値は,障害の有無に関わらず同じであることから,スポーツ参加はもちろん日常生活全般の身体活動促進に取り組む必要がある。
  • 柴田 愛, 石井 香織, 安永 明智, 宮脇 梨奈, 小﨑 恵生, クサリ・ ジャヴァッド, 岡 浩一朗
    論文ID: 2202
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本研究は,世界各国で策定された座位行動指針について概観し,その内容や特徴,策定背景を整理し,日本の成人(高齢者を含む)および子ども・青少年を対象にした座位行動指針策定に向けた基礎資料を得ることを目的とした。
    方法:概観した座位行動指針は,身体活動・座位行動研究が格段に進展しており,十分な研究成果に基づいて指針が策定されているオーストラリア,アメリカ,イギリス,カナダ,WHOの5つの国・機関とした。
    結果:成人に対する座位行動指針として,「長時間にわたる座位行動をできるだけ少なくすること」や「できるだけ頻繁に座位行動を中断すること」といった内容が,文章表現はわずかに異なるものの,すべての国・機関において共通して言及されていた。一方,子ども・青少年のための座位行動指針では,「余暇におけるスクリーンタイムを2時間までにすること」や「長時間の座りっぱなしを中断すること」に注目した内容が示されていた。
    結論:日本の成人および子ども・青少年に対する座位行動指針を策定する際には,座位行動が種々の健康アウトカムに及ぼす影響について,諸外国および日本における研究の動向を整理し,それらの成果を踏まえた上で,日本の成人に対する座位行動指針策定の際に閾値の設定を行うかどうか十分に議論することが重要である。
  • 山北 満哉, 安藤 大輔, 佐藤 美理, 秋山 有佳, 鈴木 孝太, 山縣 然太朗
    論文ID: 2204
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:山梨県甲州市において実施した骨強度調査の取組について,PAIREM(Plan: 計画, Adaptation: 採用, Implementation: 実施, Reach: 到達, Effectiveness: 効果, Maintenance: 維持)の枠組み(6局面)に基づいて報告することを目的とした。
    方法:市内の小中学校において実施した2011~2020年の取組を対象とし,PAIREMモデルの6局面について評価した。
    結果:計画:骨強度調査は別調査の追加調査として計画され,市内の希望校を対象として実施されたが,骨強度調査の具体的な到達目標は設定していなかった。採用:10年間で中学校による協力の申し出(採用)がなくなったものの,小学校では61.5%から84.6%に増加した。実施:骨強度調査の結果を活用した健康教育が展開されるとともに,学校保健委員会(5校,計7回/10年)及び骨の研究部会(5回/10年)において骨強度に関する情報提供が行われた。到達:対象とした7,362人のうち,7,200人(97.8%)の高い到達度で骨強度を測定できた。全対象児童(100%)に対して、骨強度に関する情報提供が行われた。効果:具体的な到達目標が設定されていなかったため,骨強度に対する骨強度調査の効果(目標達成度)を評価することができなかった。継続:参加校における10年間の平均継続年数は8.36(標準偏差2.2)年であったが,個人に対する取組の長期的な継続効果については検討できなかった。
    結論:学校における骨強度調査の取組により高い到達度で健康教育を実施できる可能性が示された。今後は健康教育の詳細を把握するとともに,骨強度に関する具体的な数値目標を設定し,その達成を目指した取組を実施することが課題である。
  • 平田 昂大, 小熊 祐子, 真鍋 知宏, 橋本 健史
    論文ID: 2208
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:栄区セーフコミュニティの活動の一環として実施されたアンケート調査から,栄区民が自主的に実施している運動・スポーツ中における有害事象(事故・けが)の現状と傾向を捉えることを目的とした。
    方法:2017年に栄区が自主的に運動・スポーツを実施している者を対象に実施した「スポーツ活動時に発生した事故・けがに関するアンケート(選択式・自由記述)」から得られたデータを量的・質的に解析を行った混合研究である。回答が得られた518件のうち,解析が可能であった473件を解析対象として実施した。
    結果:過去5年間の活動で有害事象があったのは94件(20%)であった。サッカー,バドミントン,バレーボールの順に報告数が多く,下肢の捻挫・靭帯損傷(26件),下肢の筋・腱損傷(20件),頭部・顔面の打撲(7件)が多く発生していた。自由記述の結果からアキレス腱断裂,膝関節前十字靭帯損傷,頭蓋骨骨折,大腿骨骨折,脳出血が発生していた。年代別では,40~50代の筋・腱損傷(16件),60~70代の転倒(11件)が特徴的であった。
    結論:地域住民が自主的に実施している運動・スポーツ中において,足関節捻挫などの下肢の傷害や高齢者の転倒といった有害事象が発生していることが明らかとなった。これらに対する予防策,対策を講じる必要性が示唆された。
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